中部の巨大私鉄、名古屋鉄道。時の流れのなかで枝葉を伸ばし、かたや幾多の路線が枯れ落ちてゆきました。三河山線末端部、猿投~西中金間もまた三河鉄道によって開通しました。しかれども70年来の足助延伸の機会は絶たれ、レールバスが通った路は静寂の森の奥に眠りについています。
 本書が追うのは三河鉄道の北進に秘められた真意と託された理想、そして埋もれゆく遺構です。志半ばに瞼を閉じた小さな鉄道を後世に伝えたい、その想いで筆を執りました。

- もくじ -

PHASE 1 : 猿投と足助の栄華
1.1 街道と里道 日本の街道の変遷
  三州街道
  柿野街道
  西岸(南北)街道
1.2 猿投と足助の発展 東海湖
  古代の窯業都市
  足助宿の栄枯
1.3 中馬輸送 山湊馬浪
  塩の道
1.4 矢作川水系の水運 矢作川の流送と舟運
  貨物輸送
  水運の終焉
PHASE 2 : 三河鉄道の興亡
2.1 三河高原への鉄道計画 法整備と私設鉄道の伸長
  中山道鉄道三河線
  信尾鉄道と中央鉄道
  信参鉄道
  尾三索道
  足助を経由する鉄道計画
2.2 三河鉄道の成立 呉越同舟
  三河鉄道の成立
  南線開通
  神谷傳兵衛
  再興
  北進政策
  その先に見据えるもの
2.3 勅使農場と野望 理想郷への延伸
  電化と失速
  拡大経営
2.4 愛知電気鉄道との合併 恐慌
  破談
  戦時統合
PHASE 3 : 山線の最期とその後
3.1 延伸運動の結末 足助への鉄道延伸運動
  選択と終末
  足助未成線
PHASE 4 : 古軌条の眠り